思わぬ巡りあわせとはこういうことを言うのか、江戸川乱歩没後50年のタイミングで用あって出向いた池袋で「旧江戸川乱歩邸」を発見した。
場所は立教大学のキャンパスの間にある細い路地を少し入ったところにあり、まさかこんな場所にあるとは思いもしなかった。
わたしと江戸川乱歩との出会いは小学生まで遡る。小学生のころ、わたしは毎日学校の図書室に通っていた。
よく読んだのは「少年探偵団シリーズ」、何度も読んだ。「怪人二十面相」など数冊は親に頼んで買ってもらったほどだ。
今のようにビデオゲームは無く、スマフォもない。子供の遊びといえばドッジボールか缶ケリの時代である。
夕食後、わたしの楽しみは学校の図書室で借りてきた本を読む事だった。
江戸川乱歩の作品は小学生の私にとってワクワクそのものだった。
その乱歩が生きていた場所である家を見学できるとは思いもよらなかった。

細い路地で普通の家のようにある「旧江戸川乱歩邸」
表札も「平井太郎」とあり「乱歩邸公開」という看板がなければ見過ごしてしまうだろう。

並列にある平井隆太郎とは息子さん
敷地は広く、大通りから少し入っているのでとても静かで環境がとてもよい。
公開といっても家の中には入ることができず、庭から室内を覗く形になっている。

中庭の奥に玄関がある。

玄関はちょっとした展示がある「写真撮影可」とあるので遠慮なく撮影させてもらった。

懐かしいタイトルが並ぶポスター?思わず「おぉ」とうめいてしまった。
玄関をでて敷地を回ると広い裏庭があり、そこから居間を覗くことができる。
この同じ場所で江戸川乱歩が生きていたと思うと感慨深い。

江戸川乱歩が家族と写っている写真と同じ場所を肉眼で見ているのがとても不思議で嬉しい。
居間に飾られている3枚の写真の一番左、乱歩が母と二人で写っている写真座っている場所から撮った写真が下。

「すごいなぁ」と思わず声にでてしまう。

確かにここで乱歩が生きていたのだ。ここに立って60年タイムスリップすれば江戸川乱歩に会えるのだと思えるだけでここに来た価値がある。
この庭の奥に土蔵がある。2階建ての土蔵の中は前面が本棚になっていて本が詰め込まれている。
実際には土蔵の入り口がガラス張りになっていて中に入ることができない。写真も撮ったがカメラだとガラスに反射してしまいうまく撮れないため撮影は断念してしまった。

500円で購入したガイドブックに土蔵写真があったので少し紹介。
この土蔵に乱歩がいたのだ。これってすごい事だと改めて思う。

事前予約していけば所蔵物の閲覧もできるらしいが限られた時間で数ある所蔵物の何をみるかでテンパってしまいそうなので、わたしにはパンフレットでの紹介ぐらいがいいのかもしれない。
あまりに見惚れてしまい土蔵全景を撮ることを忘れてしまったことだけが心残りだが脳にはしっかり記憶として刻まれているので良しとしよう。
江戸川乱歩が好きという人は是非行くことをオススメする。
今年、江戸川乱歩没後50年を過ぎ、著作権が消滅することで江戸川乱歩作品はパブリックドメインとなり、共有財産化されることで無料で作品が読めるようになると思われる。
まだ読んだことが無い人は是非読んでほしいと思う。わたしもデジタルで読み返したいと思う。
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