福本イズムである。
カイジもそうだが、最強伝説黒沢は、落ちた人間の心の声を見事に表現している。
工事現場監督の黒沢は44歳、自分には何もないことに気が付いている。妻も恋人もいない、人望もない、何もないのだ。
その心の葛藤で苦しむ姿は、私を始め多くの中年男性が感じたことがある悲哀なのではないだろうか。
一人暮らしで誕生日も祝ってもらえないのは確かにきつい。
家族を持つという事は責任が生じるし、自分の稼いできた給料を独身の頃のように自分の為だけに使うこともできない。
結婚して家や車をローンで買い、子供が成長すれば養育費もかかる。固定費は増えていくのに昨今の不景気で給料は上がらない、中小企業はボーナス支給すら危ういの世の中だ。
その上、お小遣い制で妻に財布を握られ、1日500円のお小遣いで昼食をやりくりしなければいけない生活だとしたら、自分の欲しいものなど買うなど夢のまた夢、飲みに行くお金もなく、ただ毎日会社と家の往復、週末となれば家族サービスもしなければならない。会社で疲れ、家でも疲れ、楽しみといえば時々夕飯にでる発泡酒での晩酌。
そんな結婚生活なら、独身の方がましと思う人もいるかもしれない。
人それぞれ価値観が違うので、正解はない。
だが、私の場合、苦しくても辛くても妻と子供がいる家族があるほうが、どんなに優雅な独身生活より幸せだと思う。
何故かって?
子供の笑顔には癒し効果がある、妻の優しさは心に染みる。守るべきものがあるというのは、それだけで力を与えてくれる。そしてなにより、そこには未来に向けての可能性がある。
心して読むべし!
もし離婚してしまったり、子供が親離れして音信不通になってしまったりしたら、それは不幸だ。でも、もしそうなってしまった場合、その原因は自分にもあるとだろう。
特に子供が親を嫌うならば、それは親の責任の部分が多いと思う。
妻はわからない、だって、どんなに長く連れ添っても血のつながりはなくて、他人だから。離婚の理由でもしかしたら自分に非はない可能性だってある。
でも、子供は血の繋がりがある。これは自分のDNAが次世代に繋がるという事だ。これ以上の未来への可能性はないだろう。自分中心で考えるのではなく、つながるという意味なので、微妙に感じる人もいるだろうが(^_^;)
話がそれてしまったが、最強伝説黒沢を読むと、現実を考えさせられて気持ちが落ち込む部分もあるが、何か奮起する気持ちも思い出させてくれる。
是非、独身中年男性も、既婚中年男性も読んでほしい一冊である。
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